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課題


8月    某日          曇りのち雷雨

今週も泣いたり笑ったりするにちがいない、と、見てきた朝のドラマが、そんなでもなかった。
わたしのこころの問題だろうか。


8月    某日         曇り

仕入れた小さなものをふたつたずさえて、南千住の居酒屋に行く。

以前は庭に面した窓際のテーブル席につき、持ってきた小品を眺めながら飲むのが嬉しかったのだが、一昨年前にテーブルが片付けられてカウンター席だけになってしまったので自分の近くにひとが座っていると、そんなことはやりにくい。
持ってきたのに、出せずに帰ることもある。

今日はおしまいのころに絶好のときがきた。
ごそごそと小さなものたちを出してそばにある醤油差しなどのかげに控えめに置いてひととき飲み、気持ちのおさまりをつけることができた。


私には課題がある。
そう足繁くは来ることができないこの空間を絵画にあらわすことだ。

春日の風景のように描けはしないかと構想をあたためているのだが、わたしは岩絵の具を扱える絵師に注文するかもしれない。
そうしたらちょっと藤原氏のようだ。


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まだまだ観察が足りない、、。


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春日宮曼荼羅   『春日大社展』図録より


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数年前までは、奈良や京都よりその先の、あまり一般には紹介されていない平安時代の木彫仏を訪ねるのが夏休みのならわしだった。

全国の仏像彫刻が紹介されているいくつかの本と、山川出版社の『歴史散歩』でお寺を定め、時刻表をめくって鉄道と路線バスでまわる計画をたてる。
交通手段がどうにもならず、あきらめなければならないお寺もある。

そのようにして訪ねる地方仏は、立派な山門を構える寺院にもあるが、住職がおられず、地区の人たちが守る小さなお堂があるだけのお寺におまつりされていることも多い。

その場合はまず、その土地の役場に問い合わせ、お堂の鍵を預かっている個人のかたの電話番号を教えてもらい、拝観を希望する日の十日くらい前に電話をかけてみる。
電話口では初めて話す私にもみなさん親しみをもって対応してくださり、方言も聞き心地よく、そこから旅の気分になれる。

一時間に1本あるかないかのローカル線と日に数本のバスを乗り継ぎ、あとは徒歩でゆけるお寺は限られても、やっと着くほうが車でたくさんまわれるよりもうれしい。

私はべつに仏教に帰依しているわけではないが、土地の人たちと何と言うことのない会話を交わしたりうつくしい仏像を見たりしている旅の途中は自然と信心ぶかく、ちょっといい人になっているような気がする。
道中困ったことがおこっても不思議と出会いがあり助けられ、時が経つと、自分が古い社寺縁起絵巻のかたすみに描かれているように思い出される。

辿り着いた寺の門前に、思いがけず古いままの食堂や商店があれば小躍り。
帰りのバスを待つあいだは陽が高いうちでもそこでおでんや蕎麦をつまみに一杯やって、微力ながら店を応援する。
西日のさしこむ店内で、テーブルにうつる瓶ビールとコップの長い影を眺めながら今見てきた仏像の余韻にひたれるのは、車を運転してではできない、このめぐり方ならではの醍醐味だ。
過ごした店は、いまもたたずまい変わらずにあるだろうか。

『日本は、しばしば小さな島国であるといわれる。たしかに宏大な世界からみれば、まことにいくつかの小島からなった国にみえるが、日本列島はきわめて南北に長く、小さな割には気候、風土に変化がある。また地方性も豊かにもっている。仏像を伝える東洋の諸国を多少見てまわり、有難さを痛感するのは、日本が島国であるが故に、外的に蹂躙されることが殆どなく、しかも、それらには、その土地、土地の材料が使われていることが多く、また、その土地の歴史を反映したものが多い。中には、その土地特有の人情があらわに表現されている仏像まである』 ー久野健『仏像風土記』(NHKブックス)よりー

私は仏像を守っている人たちと守られている仏像はどこか似ているように思ったことがしばしばだ。

秋の催事のご案内


11月25日(土曜日)26日(日曜日)の二日間、当店にて大分の花元さん(http://instagram.com/keizo.ando)、銀座の古裂古美術 蓮さん(http://kogire-ren.jp)、草友舎の三人で催しをいたします。
三人の品物を取り合わせるコーナーもできたら楽しいかなと思っております。

この催しに名前つきました。
『艸の会』
「ソウノカイ」と読みます。

10月になりましたら詳細をご案内いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。

ビーズ


青花の骨董祭りでは、たくさんのお客さまにお会いすることができ、よい時間をいただきました。
どうもありがとうございました。
こちらの準備不足から、いたらないこともありましたが今後気をつけます。
どうぞよろしくお願いいたします。



6月   某日   晴れ

昨日までの3日間の催事を終えて、朝から店でいろいろなことを片付ける。

ちょっと大仕掛けな感じで恥ずかしいのだが、草友舎は店内の陳列棚をすべて催事会場に運び込むので搬入搬出は引越しのようなさわぎになる。

催事は賑やかだった。  
自分の店に戻ってきて雑多な仕事にとりかかりだしても、まだ気持ちが昂ぶっている。

そこでここは、テンポのゆったりとした短調の曲にひたりこころを鎮めようと、手持ちの音楽のなかからフォーレのパヴァーヌ(私のは合唱付き)を選び、リピート設定させて店内にながしはじめた。

パヴァーヌを存分に聴いて満足してきたのに、なんとなく他の曲に変えることもせず、こまごましたことまでおおかた片付いた時にはすっかり日も暮れていて、気持ちは鎮めをとおりこして沈んでいた。

都合8時間以上同じ曲を聴いていたことになる。
短調の効き目がすぎたようである。


6月  某日       晴れ

ばらばらになっている古墳時代のガラス玉を紐に通して繋げようかと箱のなかをながめる。

パヴァーヌの合唱の幻聴がきこえる。

ガラス玉は繋げるには数が少ない。

孤独な遊びにふける。

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星座づくり。

ピヨピヨ


5月 某日 晴れ

この4月から始まった朝のドラマに入れ込んでいる。
出てくる人がみんな気持ちがよくて、私は毎度泣かされる。
大笑いしながら泣いている。
そのドラマをBSと地上波で毎朝続けざまに2回見ているという友人と、トランジスタラジオ工場で働く主人公の今後について居酒屋で語り合う。


5月 某日 晴れ時々曇り

参加する催事の日が近づいてくると気忙しいやら胸さわぎがするやらで、やらなくてはならないことに身が入らなくなりがちだ。
鎮めるために自分が『好きな感じ』を、あげてみる。


紺色
短調
制服
平安時代
ワンパターン
普通
古い
さみしい
枯れている
「グリーンスリーブス」
「埴生の宿」

、、、。
こ、これらの要素がわたし、及び草友舎の室内をかたちづくっているのか?


5月    某日       晴れ

この日記のお手本としている連載が、5巻目の単行本になって出た。
読みはじめてすぐにちからの差を思い知る(当然です)(はりあっているわけではないです)。

青花の会 骨董祭 2017


今年で2回目になります、工芸青花(新潮社)主催の『青花の会 骨董祭 2017』に、草友舎も参加いたします。

昨年よりも参加店舗数が増え、身近に楽しめるものから鑑賞古美術まで幅広くならべられると思いますので、お出かけいただければ幸いです。
青花の会ならではの企画展示販売もございます。

場所   東京神楽坂の6会場

内覧会 6月9日(金)17:00~20:00   青花会員および御招待者のみ
一日目 6月10日(土)11:00~19:00
二日目 6月11日(日)11:00~18:00

10日と11日では展示替えがあります。

入場料 1000円
10日 11日の2日間共通+6会場共通  
出展者紹介、対談記事掲載の小冊子付き

詳しくは「青花の会 骨董祭2017」のホームページ
http://www.kogei-seika.jp/seikafes/2017.htmlをご覧ください。

ホームページからフェイスブックをクリックしていただくと、各店舗の一日目と二日目のおすすめ品や、最新情報がご覧になれます。

草友舎はAYUMI GALLERY CAVE、前回と同じ会場です。

どうぞよろしくお願いいたします。



5月  某日     曇り

参加する催事が詳細を昨今盛んなSNSで宣伝しているのになじめず、ご案内のブログの文面にいささか手こずる。 

昨年、大学生の甥に手伝ってもらってSNSに登録(この言い回しでまちがってないだろうか?)し、その催事の宣伝が見られるようになったついでに、もう少しSNSに親しめやしないかと今年から自分もときたまひっそり発信しはじめている。

おもに飼い猫の紹介だ。


東京アートアンティークの二日間、たくさんのかたにお越しいただいて嬉しかったです。

移転して来てからあまり過ごすことのできなかったあかるい店内で、私も心地よく催事を楽しみました。

どうもありがとうございました。

4月中は店を閉めておりますが、5月からは仕入れ等で出かけなければ店を開けております。

ゴールデンウィーク中はカレンダー通りで店を開けます。

どうぞよろしくお願いいたします。

数字のある風景


催事のご案内

4月になりました。

毎年恒例、東京アートアンティーク(日本橋京橋美術骨董祭り)には参加いたします。

4月    14日(金)15日(土)   11時から18時

どうぞよろしくお願いいたします。



           *      *      *      *      *


3月  某日     晴れ

6年前と同じやりかたで、小さく切ったバラの枝を土に挿して一週間。
見た目にはほとんどちがいがないのだが、倍率のよいルーペで覗くとふきだした芽が日に日に大きくなっているのはあきらかだ。

胡麻くらいのおおきさなのに、ちゃんとバラの葉の形がわかる。
葉裏には一人前に棘までたくわえている。

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3月  某日    晴れ

おとといまでみずみずしかった芽の色がくすむ。
芽とともに自分もくすむ。


3月  某日    晴れ

バラの枝はぜんぶ、水を吸い上げられなくなって茶色っぽく乾いてしまった。
私は近いうちに駿河台下に行かなくてはならない。


3月  某日    雨

昭和ビルから数字を取ってくる。
ちゃんと守衛さんにことわった。

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これからも『2』は使える。

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昭和ビルで55年間の役目を終えた数字。

挿し木


2月  某日    日曜日        晴れ

そろそろ次の投稿をしようかという時に、以前にあげたものを読みかえすと誤字脱字に気がついたり説明が足りなさすぎだ、あるいはこれは余計だと思ったりして自分にしっくりするまで手直ししている日がある。

今日はあちこちの「、」の位置が気になりだし、「、」をうごかしたりもとにもどしたりまたうごかしたりしていた。

「、」に目を凝らして日曜日をほぼ終わらせてしまう。


2月  某日        晴れ

朝、昨年末に駿河台下から切ってきたバラの挿し木をこころみる。

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このバラの挿し木をするのは2回目だ。

2009年の大晦日、駿河台下の床屋の前の植え込みにこのバラを見つけて折ってきた。

私は正しい挿し木のしかたを知らない。
花が終わったあとに3㎝目安で切った茎たちをなんとなく土に挿してみたら、そのなかのひとつがすくすく育って3ヶ月後くらいからつぎつぎに蕾をつけて一年中花を楽しませてくれた。
5年目にみるみる弱って東大農学部内の植物病院に連れて行ったりいろいろ手当てしてみたが、かえらぬバラになった。

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右手


 12月  某日         晴れ

草友舎の引越しは身軽だが、それでもそれなりに慌ただしかった。

年末も店に出て、滞っていたこまごましたことを片付ける。

ビルの谷間でも昼間は店のなかに日光が差し込む。
日の入りはおそくなってきたことがわかる。

二年間、地下2階にこもっていた者にはこの当たり前なことが新鮮だ。
雑用していても気分がいい。

これでもう、
「自分はこの部屋で居心地よく過ごしている、、」
と、暗示をかけなくてもいい。


1月  某日より三日間        ずっと晴れ

風邪をひいているにもかかわらず奈良にでかける。

秘仏拝観の申し込みをして電車を乗り継ぎ最寄り駅からでも数十分はてくてく歩く寺を訪ねる、といういつものような活発な行動はさし控え、奈良市内の大寺の境内をゆるゆる歩きまわり、夕方5時半になったらぶらぶらといつもの居酒屋にはいる。
私は奈良に滞在している間、毎日この店に通ってもかまわない。

70年ほど前から行方不明になっていた新薬師寺の香薬師の右手がつい最近見つかり、奈良博の仏像館に展示されている。
小金銅仏の展示ケースのすみにちょこんと並べられていたその手には可憐で泣かされた。

『全体から受ける印象に加え、手相や関節の表現にいたるまで法隆寺の夢違観音の右手と酷似し、両像が同じ作者によることを示している』と解説にあるが、夢違観音の顔や宝冠や瓔珞ほどに手は鮮明に思い出せない。


1月  某日        晴れ

昨年の大晦日の夜に駿河台下交差点近くの植え込みから人目を憚り折ってきたバラの蕾がひらく。

あいにく店にも家にも花器がなくペットボトルに入れたままとは失敬してきたバラに申し訳ないことだ。


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奈良