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初出店

 


このたびの東美アートフェアは3年ぶりの開催、賑やかな3日間でした。
初参加の草友舎も無事に会期を終えることができました。
京橋の店舗の閉店以来、4ヶ月ぶりにする品物の陳列作業も嬉しく、ブースをご覧の皆さまと楽しいひとときを過ごすことができました。
どうもありがとうございました。


10月 某日  曇り

今回が初参加の催事は少し改まった催事なので、その雰囲気に合わせようとsns の投稿をするにつけても自分のブースに立つにつけても私は背伸びを試みた。

2022 東美アートフェアのご案内


東美アートフェアの開催が近づいてまいりました。
初出店の草友舎は、慣れない事務所で品物の詳細写真を撮る場所にも困り、パソコンの住所録から宛名ラベルをプリントに出すことも出来ず、、いろいろと滞っていましたが、ようやく落ち着きました。

このたび草友舎でもリーフレットを作りましたので、ご希望ございましたらお送りいたします。
こちらのメール、またはインスタグラムのダイレクトメールにお名前とご住所をお送りください。


アートフェアについての詳細は、東京美術倶楽部のホームページよりご覧いただけます。
https://toobi.co.jp/artfair

日本橋、京橋でも催事が開催されています。
秋の一日、双方お楽しみいただけましたら幸いです。
インスタグラム @misenite2022


移転

長く勤めていた古美術店では、それはそれはとんでもない物量の移転を5回ほど経験しているので、今回の自分の移転くらいはそう大変ではないし、むしろ荷ほどきや納める場所を考えて荷造りするのは好きな作業だ。
引越業者だって、いくら専門とはいっても一目してうんざりするような荷造りも世間にはあるだろう。
草友舎に足を踏み入れた時の第一印象として、やる気を発揮してくれるよう、気持ちよく仕事をしてくれるよう、荷造りしたものを更に大きさや形ごとに整理して部屋の端に重ねていく。

その日は、これまで配置していた展示台や棚を室内の一画に集めていた。
白い展示台を動かすと、奥のほうに褪せた薄茶色の小さな乾いた粒が数個、散らばっているのを見つけた。
最初、何だか分からず、拾うのを躊躇って見ていたが、これは一昨年、小さな信楽の壷に入れた紫式部の実にちがいない。


7月 某日  晴れ

例年ならとうに、地面に小さな穴を空けて出てきた蝉の声が周り木々から降り注ぎ始めてもよい時期なのに、自宅の前の街路樹も、上野公園に行っても、しんとしている。
まず、今から鳴き出さんと、ジーーー、
と始まるアブラゼミの声が聴こえてくると、なんとなく夏休みを待つ子供ごころにかえる感じがする。
この梅雨、東京はあまりに雨が少なく、気温も高くて地中で蝉の幼虫はみんな干からびてしまったに違いないと思い至った。

7月 某日  晴れ

割と数多く出回る、お寺の国宝のものをとった拓本でも、墨の調子などに拘ると欲しいと思うものは絞られる。
紙が焼けていたりシミのある拓本のほうが、白くて綺麗な状態のものより私にとっては心に添う場合がある。
久しぶりに東大寺の八角灯籠の拓本の掛軸を買う。
墨の調子は淡めで、音声菩薩の顔も愛らしくとれている。
八角灯籠は空のもとにあるものだし、この懐かしさを誘うような風合いになった拓本と蝉の声は響き合うように思った。

7月 某日  晴れ

自宅前の街路樹で急に蝉が鳴き始めた。
干からびていなかった。

7月 某日  晴れ

京橋では蝉の声が聴けないので拓本を自宅に持ち帰った。
朝から蝉は鳴いていた。
壁面に梁があったので店では掛かった大きな拓本は家には掛けられなかった。

店舗営業のお知らせ

 
この9月で店舗の定期借家契約が終了となります。
あと数年限定での再契約のお話もありましたが、これからも留守が多くなること、店の広さの活用と参加する催事との両立が難しいことなどから、再契約はせず、これを機にもう少し小ぶりな移転先を探すことにいたしました。

現在の店舗での営業にはつきましては、初出店となります10月開催の東美アートフェアの準備との兼ね合いもあり、当初の8月下旬までの予定を前倒しし、6月いっぱいまでとさせていただきます。

皆様のご支援により、楽しく6年間を過ごせましたことに心より感謝申し上げます。

移転先が決まりましたら、改めてお知らせいたします。
急なご報告となりましたが、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


今後の参加イベント
◆ 青花の会 骨董祭 2022
6/11(土).12(日) ※10(金)内覧会
終了しました

◆ 東美アートフェア 2022
於 東京美術倶楽部
10/14(金).15(土).16(日)
開催日が近くなりましたらまたお知らせいたします

3日+1日

 
4月 某日 晴れ

日本酒は好きだが、銘柄や製造方法などにまったく詳しくならない。
酒屋が経営している居酒屋で、メニューにある日本酒のそれぞれの特徴を店の人に教えてもらう。  
「これは立体感のある味で私は好きなんです」 
と説明された飲みごごちを自分なりに想像して注文をし、グラスに注いでもらってひと口飲んでみる。
私は立体感を持て余した。


4月 某日 晴れ

三年ぶりに店で催事をする。
4〜5箇所に活ける草花が、前日の準備の日から三日間の催事最終日までみずみずしさを保つよう、工夫は欠かさない。
閉店時には花器から抜いて薄いセロファン(とは違うかもわからない)でゆるく包み、空き瓶に入れた水に挿して冷蔵庫にしまう。
翌朝は、冷蔵庫から出してセロファンをとった草花に、これも冷蔵庫で冷やしていた霧吹きで遠めから霧を吹きかける。
その時に、ここは高原でこれは朝霧なんだよ、、と草花にそう言い聞かせるような心持ちで、柔らかく霧を吹きかけるのが、今朝摘んできたようなみずみずしさを長持ちさせるこつ。

と、私は思い込んでいる。

奈良博


夕方、奈良公園を通りがかると、月曜なのに奈良博が開館していた。
東博で観たからどちらでもよいとも思ったが、「聖林寺十一面観音  三輪山信仰のみほとけ」の会場に入ってみる。
それはまったく印象の違う展観だった。

東博での十一面観音は、少し強めにスポットライトをあて(たように思えた)、背景に大神神社の三ツ鳥居を再現する凝った演出だったが、奈良博では簡素にただ黒い壁紙を施した壁面が背後にあるだけだった。
ガラスケースが無いので東京でよりは近寄れないよう低い結界が設けてあるが、黒い背景に漆箔像がやわらかく映えて飛鳥園の写真のようで懐かしい。
昭和のコンクリート造りの、あれはあれで慣れ親しんだ聖林寺の収蔵庫で十一面観音と過ごしている気持ちも蘇った。

像全体を照らす照明とは別に、化仏をいただいた頭部の影だけがほのかに壁面に顕れるよう、ごく弱く照明があてられいてる。 
閉館時刻までの数分、大神寺に祀られていた往時の神仏習合の気配を味わった。

筆記用具


シャープペンシルを失くして久し振りに買う。
すでに仕込まれているHBの芯は、私には若干柔らかいので全部出してFの芯数本に入れ替える。
ノックを続けてしばらくすると当然芯が出てくるのだが、そのシャープペンシル本体のなかで、
「お先にどうぞ」
「お先にどうぞ」
「では私がいちばんに」
というような芯同士の会話が行われているような気がする。
子供の頃にそう思った記憶は無い。
忘れたのかもわからない。
何本かの芯のうち、一本出てくる様子はおみくじのようにも見える。

鉛筆派に憧れがある。
特に、濃い目の芯を愛用している人を何となく眩しく思っている。
絵ならともかく、ノートの罫線やマスのなかに文字を書き込むのに鉛筆を用いて、少しはみ出したり書き進めていくうちにだんだんと字が太くなったり、こすれてノートが少々汚れて読みにくくなっても捉われずにいられる気質が私には眩しい。

2022

 


年が明けました。
昨年も無事に過ごすことができましたこと、感謝申し上げます。
変わらず出先のことが多く、営業日は少ないですが、皆さまにお楽しみいただけますよう品物を探したいと思っております。
こちらの投稿も、アボガドと大林のほかに古美術にまつわる投稿ができなくては、、と思っています。 

本年もどうぞよろしくお願いいたします。


1月 2日  晴れ

2021年 11月 某日 晴れ

まだ一度も拝観したことのない法華寺の十一面観音がご開帳されていたので訪ねてみる。
和辻哲郎の古寺巡礼や、仏像の古い写真集や展覧会の図録からは、平安時代初期彫刻の特徴の、濃い香り放つような熟した量感を感じていたが、思いのほかずっと小ぶりで可憐な像に思った。
光明皇后が蓮池を歩く姿を写したと伝えられている。
病気や貧困に苦しむ人々の救済のために社会事業を手がける慈しみ深さと、正倉院に伝わる楽毅論の頼もしい書からは意志の強さも感じられる、そんな高貴な女性が蓮池を歩く姿を十一面観音と重ねて想像してみる。
来る道すがら思い出していた、ふぢはら の おほき きさき を 、の會津八一の短歌をいい歌だとしみじみ思えた気がする。
できるわけはないが、ひとつ、私も詠んでみたくなる秋の空だった。

と、アボガドと大林でないことを捻りだしてみる。


10月 某日 晴れ

店の帳面に「巫女埴輪」と書き込んだ時、ひと文字がばらばらしている自分の癖字だと巫女の巫の字がかわいい顔に見えなくもないことに気がついて、そばにあったメモ紙を巫女で埋め尽くし、鑑賞した。
最後の一画の横線が表情の決め手だ。